ツボ療法の方法

1. 少しずつでも良いですから、毎日行ってください。ツボ療法の効果を出す鉄則です。

 

2. 注意点は次の3点です。

・ツボ押しでもみ返しがくるような強さで押さないようにしてください。

炎症がある場合、その箇所を押さないでください経絡を利用して、離れた場所のツボを押してください。それがツボ療法の妙味です。  

・ツボ療法で予防をしていくと、仮に病気になった場合、病状の現れ方がこれまでと違い、症状が軽く出ますそこで過信をしないようにしてください。回復が遅いようであれば医者の診断と処方は必要です。併用することで回復は早まります。

 

3. ツボの見つけ方です。

①ツボには定義された位置があります。その場所を押すか、見るかして感覚を探ります。

②ツボは定義された場所よりずれていたり、移動したりしている場合もあります。定義された位置を押して圧を緩めることなく少し指先の方向を変えて感覚を鋭敏にしてください。

③ツボには次のような感覚があります。見た目も重要な判断点です。自分の指先の感覚を信じてください。慣れてくるとわかるようになります。

・くぼみ、骨のくぼみ、骨の際(筋肉や腱とのすき間)、筋肉の縁、痛気持ち良い/ズーンと響く、圧痛、(押した先の部分的な)かたまり

・見た目には、くぼんでいる、少し肌の色が周囲と比較して違う、くすんでいる

 

4.なかなか治らない場合の対応

このサイトでは未病、症状別にツボ、ストレッチ、簡単な気功、足の反射療法、高麗手指鍼のツボ、耳つぼで治すまたは改善する手法を紹介しています。ツボにおいては特効ツボ、経絡上のツボの両面から紹介しています。

しかしながら、要因が複合的な場合、体質的なものに起因する場合、加齢が伴う場合は症状がなかなか取れないことがあります。その場合は次のような対処をしてください。

①基本は症状が出ている延長線上の経絡及び臓腑の経絡を使います。または、関節痛の場合は関節を構成している筋肉の縁を使うこともあります。

②全ての十二経脈には臓腑をまとう支流、他の経脈につながるツボや支流があります。ツボを結んだルートだけが経絡ではありません。本サイトの各経絡の説明ページ内の「流注(るちゅう)」を参照してください。再度、その流注にしこりや圧痛等がないかどうか探ってみてください。

③臓腑の関係から表裏の経絡を探ってみてください。

④次に五行論から相生の経絡を探ってみてください。

⑤関節痛で筋肉の縁を使う場合は関節を構成する別の筋肉の縁を探ってみてください。

 

なお、経絡、臓腑の定義については「経絡とは何か」、「臓腑論とは何か」を参照してください。

 

5. ツボ押しには指圧、揉捏(揉む)、軽擦(軽くさする)、ひきはがす、チクチクと刺激をするといった方法があります。その基本的な要領は次の通りです。

①指圧の方法

・拇指、示指、中指の指腹(手指先の腹)または指端(手指の先端)で押してください。その際、使用しない指は体に当て、支えてください。指端の方が指腹より強く当たります。

・指に力が入らない場合やエリアで刺激をしたい場合(例えば、複数のツボを同時に刺激する場合)、手拳、手根、拇指球、小指球を使ってください。

・時間の目安は3秒で押し、3秒間止め、3秒でゆっくりと緩めます。圧は3~5kg、痛気持ちよい感じです。適度な圧は必要です。軽過ぎる圧では効果がでません。 

特効穴と記述してあるところ、圧痛があるところ、自分でこれは効くと思われるツボは長めに15秒ぐらい押します 

・自分でこれは効くと思われるツボの場合、2~3段押しも有効です。3秒かけて押し、そのままの強さで5秒キープ、その後緩めることなくさらに深めに3秒かけて押しそのままの強さで10秒キープ、その後、10秒かけてゆっくり力を抜きます。3段押しの場合は2段目の手法をもう一回さらに深く押します。コツは途中で力を緩めないことと最後ゆっくりゆっくり力を抜くことです。

・足の裏や下肢を押したときに痛くて硬いところがあります。その場合、その硬いところを少し強めにゆっくり押し、15秒押したままにします。

筋肉の付着部や縁のツボは骨から筋肉をはがすようなイメージを持つと効果的な場合があります。(対象のツボは個別のページに記述してあります)

・顔への圧は体よりも弱めます。

・両手の拇指の先をそろえて押すと、軽い力で圧がかかります。

・押したとき、ツボらしい感じがしない場合、押したまま圧をかえることなく数mm程度上下左右斜めにずらし、探ってください。

・熟練度が増すにつれ、次のことを意識してみてください。

押すときに指先から発する気の深さ、長さ、到達先、広がりを意識します。架空でイメージします不思議なものでそうすることで押す強さ、方向、指の当たる面積が定まります。

 

②揉捏の方法

・揉捏は指腹、四指、拇指球、小指球、手掌部を使って、同じ圧を加えてもみます。もむ方向は円を描くように、経絡の流れる方向、逆の方向または横方向があります。

・急性や熱を持っている場合は指で押すより、手掌部で包み込むようにしてさらに手掌部の中心(「労宮」というツボ)で回すように揉捏します。

 

③軽擦の方法 

・主に手掌部を使います。軽擦の速度は4~5cm/秒を目安としてください。この速度が最も安らぐと言われています。 

 

④ひきはがす

経絡に沿って、または筋肉の走行、特に筋肉の端に沿って、指または爪をゆっくり深く入れ込み、その後筋肉を引きはがすように指または爪をスライドします。最も強い刺激法になります。急性の痛みを取るのに使いますが、慢性の場合も有効です。

 

⑤チクチクと刺激をする

経絡の沿って、または患部の周囲をシャープペンシルの先(芯を出していない状態)か楊枝の先でチクチクと刺激をします。痛みによく効きます

次の方法も有効です。

楊枝を10本ぐらい束ねて輪ゴムで止めます。刺激が分散され、当たりが柔らかくなります。

 

6. 足裏への指圧で刺激が少ないと感じる方は100円ショップで購入できる指圧棒や使い古しの歯ブラシの柄の先で押し込むか、またはこすりあげてください。

 

7. 弱い刺激を続行させるピップエレキバンも有効です。時々上から押します。マグネットそのものは繰り返し使えますので、張り替え用のシールのみを100円ショップで購入すれば安上がりです。繰り返し使う場合は、マグネットに付いたシールの糊の残りをアルコールで取り除いてください。但し、シールにかぶれますので、長期間貼ったままにしないでください。 

 

8. お灸も有効です。せんねん灸のような台座灸を勧めます。注意点は次の通りです。

・換気に留意してください。

・最初施灸する場合や毎日する場合は10日に一度ぐらいの割合で、ツボの位置を再確認しその箇所にマジックで印をつけてください。毎日施灸していくと位置が微妙にずれる恐れがあります。

不快な熱さを強く感じるときは、取り外してください。そうしないと跡が残ります。

・最後まで熱さを感じない場合、そのツボはあたっています。さらにもう1壮やってください。それでも熱くなければさらに1壮です。繰り返します。これはお灸を効かせるうえでの大事なポイントです。施灸の最後の方で痛みを伴うような熱さがしみこむ感覚があります。そこまでの感覚が無くても温かく感じれば効いています。その熱さや温かさの余韻がなくなればそこで終了です。養生や予防が目的であれば、1壮か2壮で結構です。壮というのは一箇所にやるお灸の回数です。

・ツボに指を当ててみてください。冷たい場合は事前にドライヤーで温めてからお灸をしてください。途中でも結構です。

 

9. 足裏や足の甲にはサムウォーキングという手法を勧めます。

・親指の第一関節の屈伸で刺激を与えていきます。下図のように「拇指を少し立て」軽い圧力を与えます。

・圧力後、前に数ミリ進み、下左図(圧力前)、下右図(圧力後)の方法を繰り返していきます。

10. サムウォーキングをする場合の「方向の原則」は次の通りです。原則以外の方向の場合は、文中に但し書きがあります。

・右図を参照してください。足裏は内側から外側です。但し、小指球あたりは指側からでも結構です。

・足の甲は足首に向かってです。

・足の横は踝に向かってです。

但し、内側で足裏との境のところは双方向で結構です。

11. 爪甲の角や骨の細いくぼみのツボに刺激を与える場合、親指の爪の先端を使って、チクチクと5~10回程度押します。

 

12. 指を揉む方法です。揉み方は指を1本ずつ片方の手で握り、根元から先端に向けて、斜めの方向に回しながら押し揉んでいきます。各指5回ぐらい揉みます。一日何セット回行っても結構です。捏五指法(ねつごしほう)といいます。

 

13. 耳のツボは指で押さえるという方法のほか、爪の先端を使ってください。耳のツボは区域ではなく、ツボとツボの間隔が狭く点のような場合があります。そのような場合、爪の先端が役に立ちます。

 

14. 各治療法のページの中で、「…から指n本」という文章でツボの場所を説明していますが、特別な断りがなければ、「1本」は示指の指先より2番目の関節の幅、「2本」は示指から中指までの指先より2番目の関節の幅、「3本」は示指から薬指までの指先より2番目の関節の幅、「4本」は示指から小指までの指先より2番目の関節の幅、「5本」は拇指の指先より1番目の関節(IP関節)から小指の付け根(MP関節)までの幅を言います。「親指の幅1本」と断りを入れているのは親指の指先より1番目の関節の幅です。

15. 各ページの図に描かれているツボで正中線(前面・背面の中央を頭から縦にまっすぐ通る線)以外にあるツボは左右対称にあります。図には片方しか描かれていませんが、左右を押してください。但し、一部例外があり、左右のどちらかにしかない個所もあります。その場合は但し書きがしてあります。

 

(本ページの参考文献)

・岡本雅典(2012)『よくわかる指圧テクニック』医道の日本社.

・小野田茂(2012)『指圧のいろは』石原寛監修 たにぐち書店.

・呉竹学園編(1977)『按摩・マッサージ・指圧-実技篇-』呉竹学園.

・杉本錬堂(2015)『天城流湯治法エクササイズ』ビオ・マガジン.

・杉本錬堂(2017)『天城流湯治法エクササイズ2』ビオ・マガジン.

・張軍(2009)『実用中国手技療法 基本編』廖伊庄(リャオ,イチュアン) 監修・訳  ガイアブックス.

・長田裕(2015)『チクチク療法』三和書籍.

・ハンネ・マルクワット(1985)『足の反射療法』吉元昭治ほか訳 医道の日本社.

・ハンネ・マルクワット(2007)『ドイツ発 フット・リフレクソロジー療法事典』服部香里監修 手塚千史訳 産調出版.

・吉元昭治ほか(1989)『足の反射療法教本実技編』医道の日本社.