子どものチック症のツボ療法です。
次のツボ療法を一日2回、最低1回は行ってください。大体1~2ヶ月でご家族から見てもそれほど気にならなくなるぐらいまで症状が改善します。
1. 「身柱」というツボの上下の5cmぐらいの線を、歯ブラシの毛先で30~40回マッサージをします。
「身柱」 (上背部、後正中線上、第3胸椎棘突起下方の陥凹部)
第3胸椎棘突起は、後正中線と肩甲棘内端の水平線の交点に取ります。
「小児病を司る」と言われ、小児には欠かせないツボです。
2. 「四縫」というツボの上下2cmぐらいを歯ブラシの毛先で各指10回ずつマッサージをします。
「四縫」 (手のひらの人差し指から小指まで四指の第二関節中央)
3. 次の方法もお勧めです。特に目をぱちぱちする、目をぎゅっとする症状に有効です。
もともとこの手法は神田橋條治先生が著書で「子供さんの脳の慢性の興奮状態を鎮める方法」として紹介されているものです。筆者もお勧めし実践してもらって、その有効性を実感しています。
①足の親指の先に手の五本指を当て、瓶のふたを開ける要領で左回りでなでるように10回ひねります。もう片方の足の親指もやります。
「左回り(時計と反対回り)」と「なでるようにひねる」がポイントです。
治りが遅いようでしたら、もう10回増やしてください。
②さらに、念押しで足の親指の爪のまわりを左回りで10回マッサージします。
(本項の参考文献)
神田橋條治(2019)『心身養生のコツ』岩崎学術出版社.
4. お子さんに大きな環境変化(注)があると、症状が戻る時があります。そのときには次のツボを加えてください。ツボの場所を含む3cmぐらいのエリアを歯ブラシの毛先で10回ぐらい刺激をしてください。
(注) 例:2020年新型コロナウイルスによる長期間学校閉鎖後の再開
「手心」 (手のひらの中央のへこんだところ)
神経の興奮を鎮めて、気持ちを落ち着けます。
「内関」 (腕関節掌側横紋の正中から肘に向け指2本)
自律神経の安定、不安や動揺を調和させます。
5. 注意点、留意点は次の通りです。
①歯ブラシの毛先は柔らかめを使ってください。
②お子さんを膝の上に座らせて行ってください。終わった後、ギュウーと抱きしめてください。
③よく言われることですが、気にしないことが何よりも大事です、ご家族の方はお子さんに対しだまっていてください。このことは絶対守ってください。
④症状が出ている場所のツボには施術しないでください。かえって悪化します。
例えば、咳払いが症状としてある場合、喉のツボ(「天突」(胸骨脛切痕の上縁陥中))。
⑤長期間やっているとお子さん自身が自らやるようになります。 お子さんがやると圧がやわらかくなりますので、時々見てあげてください。
必ず、改善します。
《豆知識》
・「セルフケア」は決して「人の助けを借りず、ひとりっきりで、自分を助けましょう」ということではありません。「自立とは依存先を増やすこと」という名言(注参照)がありますが、私たちはお互いに頼り、頼られる関わりの中でこそ、自立して生きていけるのです。
(注) 熊谷晋一郎先生の言葉
・「すべてのストレス反応は自分を守るための正常な反応」だということです。
人間は、というよりは全ての生き物は、「生き延びるためにストレス反応が心身に生じる」ように設計されています。
(豆知識の参考文献)
・伊藤絵美(2020)『セルフケアの道具箱』晶文社.