腕がだるい、重い

腕全体がだるい、重い、違和感があるといった症状へのツボ療法と筋トレによる改善法です。

 

この症状の要因の一つに、腕の重さ(片腕3~4kg)を支え切れなくなってきているほど、肩関節や肩甲骨周りの筋肉が「弱っている」、「衰えている」、「慢性的に疲労している」、「筋肉量が不足している」と考えられます。

 

運動不足の人が過度な運動後にこの症状が出る場合があります。運動をよくやる人でも肩や肘を痛めた後、痛みは取れたもののこの症状が出る場合があります。

 

対象とする筋肉はローテーターカフ(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)、大胸筋、三角筋、広背筋、大円筋です。

 

考え方としては、まず、腕を支えている筋肉の疲労を回復させ、次に回復の度合いを見て、筋肉トレーニングを開始します。

 

1.腕を支えている筋肉の疲労回復

①対象の筋肉は棘下筋、棘上筋、小円筋です。 

右図「臑兪」 じゅゆ (肩周囲部、腋窩横紋後端の上方、肩甲棘の下方陥凹部)

「天宗」 (肩甲部、肩甲棘の中点と肩甲骨下角を結んだ線上、肩甲棘から1/3にある陥凹部)

「天宗」を含む肩甲棘の下縁のエリア、棘下筋を押圧してください。強く押すと痛いところですが、よく効きます。

棘下筋の圧痛点に指を差し込み、筋肉を引きはがすようにスライドします。(赤字矢印)

「秉風」 へいふう (肩甲部、棘上窩、肩甲棘中点の上方)

「曲垣」 (肩甲部、肩甲棘内端の上方陥凹部)

「秉風」、「曲垣」を含む肩甲棘の上縁も押してください。

 

自分で施術する場合は、ボールを使います。ボールはバウンドボール、テニスボール、ソフトボールどれでも結構です。床の上にボールを置き、背中をその上に置き体重を乗せます。

 

 

②対象の筋肉は大円筋、広背筋です。

極泉 (腋窩中央、腋窩動脈拍動部)

拍動部にこだわらず、数カ所を押してください。 

右図「肩貞」 (肩関節の後下方、腋下横紋後端の上方親指幅1本)

 

腋窩横紋端も含めて近辺も押しこんでください。腋窩横紋端には「後腋下」というツボがあります。

 

③対象の筋肉は小胸筋、大胸筋です。

右図「中府」 (鎖骨の外端の下方の陥凹部から指1本半下) 

「雲門」 (鎖骨下縁を外方になぞると硬い骨(烏口突起)に当たる、その内側の陥凹部)

烏口突起に沿って2本の指をゆっくりと一旦肩関節の方向に深く入れ込み、その後内側に向かって筋肉をはがすように引きます。

 

④対象の筋肉は広背筋と肩甲骨周りの筋肉です。

この手法は他の人に押してもらうことを前提にしています。手当を受ける方は肘を少し曲げ、腕を体の前側にもっていき、肩甲骨を開いておきます。

 

右図脊柱の傍ら指2本と4本の線上で肋骨を探り、腰まで肋間を押していきます。

さらに右図肩甲骨下のエリアの数箇所に指をゆっくりと一旦深く入れ込み、その後内側に向かって筋肉をはがすように引きます。

 

自分で施術する場合は、ボールを使います。ボールはバウンドボール、テニスボール、ソフトボールどれでも結構です。床の上にボールを置き、背中をその上に置き体重を乗せます。 

 

上廉、「手三里」、曲池というツボを押します。

右図「上廉」 じょうれん(次の「曲池」より前腕橈側指4本下)

前腕外側の大きな筋肉の一番盛り上がったところで著明な圧痛点を狙います。手のひらで前腕部を下から支え、親指で押し込みます。

「手三里」 (次の「曲池」より前腕橈側指3本下)

「曲池」 (肘を十分屈曲して、肘窩横紋外端のくぼみ)

肘頭に向けて押し込みます。

 

2.腕を支えている筋肉の強化

注意事項です。

・トレーニング中痛みが出てきたら止めてください。項番1の施術を継続し、数日後に再開してください。そのときはトレーニングの負荷(回数)を軽くしてください。

・器具としてダンベルを使いますが、外旋、内旋の場合は床上に横になり行ってください。

・ダンベルの重さは軽めを選びます。2(~3)kgで試してみてください。

・ローテーターカフ(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)はインナーマッスルです。トレーニングで腕の動かす範囲に制限を設けています。それ以上動かすとアウターマッスルが活動し、インナーマッスルを強化できなくなります。

・回数は20~30回/1セット/1動作/1日です。

 

①棘上筋

・立ち姿でダンベルを持ち横に30度まで1秒かけて上げます。

・横に上げるとき、真横ではなく斜め前30度の方向にしてください。

 

②棘下筋、小円筋

・対象の腕が上になるように床に横になります。対象の腕でダンベルを持ち、肘の位置を固定したまま、外旋します。三角筋が緊張しないように注意してください。

 

③肩甲下筋

・対象の腕が下になるように床に横になります。対象の腕でダンベルを持ち、肘の位置を固定したまま、内旋します。大胸筋が緊張しないように注意です。

 

④大胸筋

・いわゆる腕立て伏せをします。

 

⑤三角筋は三つのパートごとにやり方が異なります。

●三角筋中部

・ダンベルを持ち、肘を軽く曲げた状態(30度前)で固定し、肘を下から肩の高さまで上げます。

 

●三角筋前部

・ダンベルを持ち、腕を前にし、肘を少し曲げた状態で固定し、体の前方に向けて、腕が地面と水平かそれ以上になる高さまで上げます。

●三角筋後部

・椅子に座り、前傾姿勢(かなり前)になります。

・ダンベルを持ち、まず腕全体を横に下ろし(肘は少し曲げたまま)、次に肩を起点にして、腕を真横に上げます。

 

⑥次に肩まわしをします。

肩の先端に手指を当て、左右一緒に後方に4~5回程度回します。次は前方に4~5回程度回します。

しっかりと左右の肩甲骨を寄せる→肩を高く上げる→肘を前方に出し大きく左右の肩甲骨を広げる→肘を下げる、この繰り返しを大きくゆっくりと行うのがコツです。