臀部の帯状疱疹による排尿困難

この記録は私自身が罹患した臀部の帯状疱疹とその合併症である排尿困難の顛末です。帯状疱疹の主な発症部位は上肢~胸背部をよく聞きますが、臀部、下肢、顔もそれなりにあるようです。どうも発生確率は各部位の面積に比例するようです。

 

帯状疱疹で怖いのは合併症です。臀部の場合、座骨神経痛、排尿障害(排尿困難、尿閉等)です。

臀部の帯状疱疹と排尿困難を引き起こした場合の対応として、この顛末がお役に立てると思います。

 

●2021/12/3夜 突然排尿困難になる。症状としては排尿まで5分以上時間がかかることと排尿痛があること。

週明けに泌尿器科受診⇒ドクターの説明は次の通り。

・細菌感染は無し。前立腺肥大は無し。

・排尿は自律神経が制御している。交感神経が優位になると膀胱を緩ませ(膀胱の容量を増やし)、内尿道括約筋を締める(排尿を止める)。副交感神経が優位になるとその逆。

・「緊張することが続く」、「尿意があるのに我慢することが続く」と交感神経が優位になりっぱなしとなり、排尿困難になる。

・「最近、免疫力が落ちるようなストレスフルなことがありませんでしたか?」という質問あり。数日前の話をする。

・ハルナールD錠0.2mgが処方される。→ハルナールD錠0.2mg:尿道が圧迫されるの防ぎ、尿道を取り巻く筋肉及び前立腺の緊張を緩め、尿を出しやすくする。

 

●2021/12/9 臀部の発疹に気づく。皮膚科受診⇒帯状疱疹と診断される。

・抗ウイルス剤7日間の服用。

・痛み止めも処方されたが、一度も服用せず。

・帯状疱疹が出てから、排尿困難の症状は悪化。途中で止まったり、全く勢いがない。夜中は、尿意はあるものの出ないときもある。

・合併症として、座骨神経痛、排尿障害(排尿困難、尿閉等)が怖い。私の場合はまさに排尿困難である。尿意があるものの尿が満足に出ないということはこんなにまで焦るとは思いもしなかった。特に夜である。普段は何の意識もせずに排尿していることがどんなに幸せなことであるかを実感する。

・皮膚の湿疹は黒焦げ状態である。自転車は厳禁である→湿疹が悪化する。

 

●2021/12/21 再度泌尿器科受診

・12/3以降の排尿困難は帯状疱疹によるもの

・膀胱が麻痺をしている。膀胱の自然回復を待つしか無い。1ヶ月かかるか3ヶ月かかるか予想がつかない。ハルナールD錠0.2mgを続けること。

・後日ネットで調べてみると「神経節に潜伏しているウイルスが表皮細胞までたどり着くまで5日間」とある。ウイルスは表皮細胞にたどり着く過程で腰仙髄神経領域に影響を与えたと考えるとわかりやすい←この部位から大腸、膀胱、生殖器へと繋がる副交感神経が発している。

 

●自分で出来ることは何か→「排尿で心がけることは何か」、「ツボ療法で膀胱麻痺を回復させる方法はないか」→試行錯誤してみた。

 

●2021/12/23「排尿時の心得」の実践を本格化→帯状疱疹発症から15日目

・ためて出す←排尿間隔を守ること:2時間(日中8回ペース)~4時間(日中4回ペース)→排尿間隔が短いと、排尿までの時間がかかる、勢いがない、途中で止まってしまう、残尿感があるといった症状が出やすい。

・「今のうちに」、「念のため」、「とりあえず」トイレに行く⇒こういう出し方をしない。

・出すことを意図しない→自然に任せる→出すのは自律神経の役割→運動神経の役割ではない。

・自然に出るままに任せる。

・顔の力を抜く。

 

⇒こうすることで即、排尿が少し楽になり、日中の排尿回数が7回以下になった。

 

●「ツボ療法で膀胱麻痺を回復させる方法」の試行錯誤→どれもうまくいかなかった。

・排尿困難、帯状疱疹発症初日から、これはといったつぼに指圧、ピップエレキバン、お灸をやってみたが、効果が感じられなかった。

・「中極」、「関元」、「帰来」、「水分」、「太渓」、「膀胱」の反射区、「腰腰関」、「神門」、「内関」、「労宮」

 

●2021/12/31「お灸の強刺激開始」→帯状疱疹発症から23日目

・そこでこの急性の状況では強刺激をすべきと考え、「膀胱」の反射区に焦点を絞った。この反射区は少しエリアが広く、せんねん灸の台座が横に3つ、縦に2つ分入る。まず甲側に近い側の横3つ分に一度に火をつけたところ、1壮目から熱さを感じる。次に足裏に近い側の横3つ分に一度に火をつけた。4壮やっても熱くなく、5壮目ぐらいに少し感じた。この状況は三日続き、その結果、尿の出方も勢いを増し、排尿痛も少なくなってきた。年明け1/2からは夜間排尿は1回でおさまるようになってきた。1/3からは2、3壮目ですこし熱くなった。とにかくかなり熱くなるまで壮数を重ねた。

 

・「膀胱」:内踝の下、土踏まずのアーチ状の(踵骨、船状骨、第一楔状骨にまたがる)エリア

・さらに排尿障害に効く腎経のツボ「水泉」にピップエレキバンを貼る。

「水泉」:足内側、「太渓(内踝の後方、アキレス腱の前のくぼみ)」の直下、親指幅下

・夜寝るときに膀胱を冷やさないように下腹部にタオルを当てた。

 

●2022/1/7「排尿の状況」はほぼ良くなった。→帯状疱疹発症から30日目

排尿回数も1/2以降日中8回の日もあったが、日中7回以下になる。夜は1回。お灸も1、2壮目で熱くなる。

 

●「排尿時の心得」の実践、「膀胱」の反射区の熱くなるまでのお灸を毎日継続 

 

●2022/1/17 泌尿器科再受診→症状が取れたことを報告

・ドクターの診断からも排尿困難が治ったことを確認

・ハルナールD錠0.2mg服用終了

・但し、帯状疱疹の皮膚が元通りなるのは当分先になると思われる。痛み、かゆみはほとんど無い。

 

●2022/1/24 その後

・ハルナールD錠0.2mg服用終了後、1週間経過。特に問題なし。変化を強いて言えば、利尿作用のある食品の摂取、例えば、コーヒー、みかん、納豆、キウイ、冷たい水が多いとトイレに行く回数が日中1、2回増えた。

・「膀胱」の反射区のお灸は継続。1壮目でとても熱い。

 

●反省点

・これまであまりにも排尿の習慣が悪かった→排尿間隔が短かすぎた。

・膀胱、前立腺、尿管を丹念に養生することの重要性を実感。

・2021/12/3夜、突然排尿困難になるまでに、座骨神経痛、疲れを意識していたにもかかわらず、休みを取らなかったこと→いつまでも若くはない。

 

●気がついたこと

・排尿が難なくできるということが大げさでなくこんなに幸せなことか。

・起床後、排尿後、朝食前に血圧を測り、記録しているが、それによると、排尿困難がある期間は最高血圧が10~30mmHg上がった。排尿困難が治ると、血圧も下がった。以前よりもさらに10~20mmHg下がった。排尿困難の期間は交感神経が優位であったと考えると説明が付く。スムースな排尿は精神を落ち着かせる。

 

(参考文献等)

・皮膚のことチャネル (2021年2月3日)、『【帯状疱疹】ウイルスの気持ちになってみた』、 閲覧日 2022-1-03、 https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=FrRtBrQsqoc

・渋谷秋彦(2014、2018)『気持ちいいオシッコのすすめ』現代書林.

・関口由紀(2018)『自分で治す頻尿・尿漏れ』洋泉社.