足太陽膀胱経

:足太陽膀胱経(あしのたいようぼうこうけい)の主要穴(42穴/67穴中)

《全般の症状》

  • 六臓六腑の機能調整(注参照)、脳の疲れ、血流改善、下肢の痛み・倦怠

 (注) 太陽膀胱経には背兪穴という六臓六腑を調整するツボが配置されている

 

《流注》 るちゅう

内眼角(睛明)に起こり、額に上がり百会で左右が交わる。その支なるものは百会より耳の上角に至る。

直行するものは、百会より頭蓋内に入り脳をまとい、還り出て項に下り、肩をめぐり、脊柱を挟んで腰中に至り腎をまとい膀胱に属する

その支なるものは、腰中を下って脊を挾み、臀を貫き膕中(こくちゅう、委中)に入る。

その支なるものは、肩から左右に別れ、背の最も外側を通り、臀部の外側および大腿外側を通って委中において先の支別と合する。ついで委中から下腿後側を通り外果の後に出て足の外側をめぐり、足の第5指外側(至陰)に終わり足の少陰腎経に連なる

(注1) 青い太字部分にツボが配置される

(注2) 暗赤色の太字部分は見落とされがちなルート

 

《前経脈》手太陽小腸経  《後経脈》足少陰腎経

 

《晴明》 せいめい

[部位] 顔面部、内眼角の内上方と眼下内側壁の間の陥凹部→目頭より内側やや上(3~4mm)の鼻根部の小さなくぼみ

[字義] 晴は瞳子、明は明るい→眼病に良い

[適応症] 疲れ目

: 目の疲れ、飛蚊症、翼状片、白内障、美容、糖尿病、花粉症

 

《攅竹》 さんちく

[部位] 眉毛内端の陥中

[字義] 攅はあつめる、竹は竹の葉→眉が竹の葉の形状に似ており、眉の内側に毛が集まっている

[適応症] 近視、眼瞼痙攣

: 眼瞼痙攣、目の疲れ、飛蚊症、頭痛、美容、白内障、緑内障、糖尿病

 

《通天》 つうてん

[部位] 「百会」の大体指2本強斜め前

[字義] 通は通じる、天は脳天

[適応症] 不眠、イライラ

: めまい、花粉症、慢性疲労

 

《玉枕》 ぎょくちん

[部位] 外後頭隆起直上陥中の傍ら指2本弱外側

[字義] 玉はまるい、枕はまくら→後頭骨の丸いところで枕が当たる

[適応症]  眼精疲労、鼻閉 

: 緑内障、慢性疲労、めまい、眼瞼痙攣、白内障、ドライアイ、目の疲れ、脳の疲れ、花粉症、疲労感、心の疲れ

 

《天柱》 てんちゅう

[部位] 盆のくぼの中央から指2本外側で僧帽筋腱の外縁陥凹部

[字義] 天は頭部、柱は柱そのもの→頭部を支えている

[適応症]  頭にある病気は「天柱」、次の「大抒」で治すといわれる名穴

: 首の痛み、めまい、高血圧、抜け毛、認知症、物忘れ、眠気覚まし、脳の疲れ、低血圧、目の疲れ、首~背中の痛み、鼻血、リンパを流す、頭痛、肩こり、更年期障害、風邪、白内障、心の疲れ、疲労感、肺炎予防、花粉症

 

《大抒》 だいじょ

[部位] 第一、第二胸椎棘突起間脊柱の傍、指2本

[字義] 大は大きい、抒はく(汲)む、すくいだす→骨の髄にたまった邪気をくみ出す

[適応症] 背中や体の節々の痛みを取る→「骨会」と名付けられている

: 首~背中の痛み

 

《風門》 ふうもん

[部位] 第二、第三胸椎棘突起間脊柱の傍、指2本

[字義] 風は風邪(ふうじゃ)、門は入り口

(注) 風邪の進行ルート:風門→風池→風府→上へor/and下へ

[適応症] 風邪の引き始め

: 風邪、痰、関節リウマチ

 

《肺兪》 はいゆ

[部位] 第三、第四胸椎棘突起間脊柱の傍、指2本→肩甲棘を結んだ線が目安

[字義] 兪は癒える、癒す→肺の主治穴

[適応症] 肺の機能向上

: 首~背中の痛み、風邪、痰、疲労感、肺炎予防、心の疲れ

 

《厥陰兪》 けついんゆ

[部位] 第四、第五胸椎棘突起間脊柱の傍、指2本

[字義] 厥陰(心包)の主治穴

[適応症] 心包(脈管系)の機能向上、気力の衰え

: 首~背中の痛み、風邪、痰、疲労感、肺炎予防、心の疲れ、肩こり、関節リウマチ

 

《心兪》 しんゆ

[部位] 第五、第六胸椎棘突起間脊柱の傍、指2本

[字義] 心の主治穴

[適応症] 精神的愁訴

: 心の疲れ、首~背中の痛み、風邪、痰、疲労感、肘の痛み、肩こり、関節リウマチ

 

《督兪》 とくゆ

[部位] 第六、第七胸椎棘突起間脊柱の傍、指2本 

[字義] 督脈の主治穴

[適応症]  肩甲骨間のこり

: 心の疲れ、首~背中の痛み、痰、疲労感

 

《膈兪》 かくゆ

[部位] 第七、第八胸椎棘突起間脊柱の傍、指2本→左右の肩甲骨下縁を結んだ線が目安

[字義] 横隔膜の主治穴→横隔膜より上、下の双方に効く

[適応症] 「血会」と名付けられ、血流改善の代表穴

: 首~背中の痛み、肘の痛み、咳喘息、肺炎予防、頭痛、疲労感、風邪、痰

 

《肝兪》 かんゆ

[部位] 第九、第十胸椎棘突起間脊柱の傍、指2本

[字義] 肝の主治穴

[適応症] 肝機能向上

: 首~背中の痛み

 

《胆兪》 たんゆ

[部位] 第十、第十一胸椎棘突起間脊柱の傍、指2本

[字義] 胆の主治穴

[適応症]  胆機能向上

: 首~背中の痛み

 

《脾兪》 ひゆ

[部位] 第十一、第十二胸椎棘突起間脊柱の傍、指2本

[字義] 脾の主治穴

[適応症]  脾機能向上

: 胃痛、首~背中の痛み

 

《胃兪》 いゆ

[部位] 第十二胸椎、第一腰椎棘突起間脊柱の傍、指2本

[字義] 胃の主治穴

[適応症]  胃機能向上

: 胃痛、首~背中の痛み

 

《三焦兪》 さんしょうゆ

[部位] 第一、第二腰椎棘突起間脊柱の傍、指2本

[字義] 三焦の主治穴 

(注) 体には多種多彩な働きの活力となるエネルギーをゆきわたらし、一方外邪を防御する(闘う)いろいろ仕組みがあり、そのひとつを三焦と定義(→当サイトは全身のリンパ系(水分代謝、組織液含む)と捉える)

[適応症]  疲労(エネルギー不足)

: 首~背中の痛み

 

《腎兪》 じんゆ

[部位] 第二、第三腰椎棘突起間脊柱の傍、指2本→肋骨下縁(第十二肋骨先端)を結んだ線が目安

[字義] 腎の主治穴

[適応症] 腎機能向上、老化は腎の気の衰え→養老の必須のツボ

: 尿路結石、首~背中の痛み、腎機能向上、座骨神経痛、疲労感、関節リウマチ、冷え症、養生、腰背部の疲れ、慢性の腰痛

 

《大腸兪》 だいちょうゆ

[部位] 第四、第五腰椎棘突起間脊柱の傍、指2本、腸骨の上端の高さ(ヤコビ-線)が目安

[字義] 大腸の主治穴

[適応症]  大腸機能向上→大腸は脳、肺、胃、腎と関係が深い

: 首~背中の痛み、腎機能向上、疲労感、冷え症、養生、腰背部の疲れ、慢性の腰痛

 

《関元兪》 かんげんゆ

[部位] 第五腰椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方指2本

[字義] 関元(臍下丹田)の主治穴

[適応症] 排尿異常

: 座骨神経痛、腰背部の疲れ、首~背中の痛み、慢性の腰痛

 

《小腸兪》 しょうちょうゆ

[部位] 第一後仙骨孔と同じ高さ、正中線の外方指2本

[字義] 小腸の主治穴

[適応症] 小腸機能向上

: 座骨神経痛、腰背部の疲れ、関節リウマチ、冷え症、首~背中の痛み、慢性の腰痛

 

《膀胱兪》 ぼうこうゆ

[部位] 第二後仙骨孔と同じ高さ、正中線の外方指2本

[字義] 膀胱の主治穴

[適応症]  膀胱機能向上→足太陽膀胱経の背兪穴

: 座骨神経痛、腰背部の疲れ、冷え症、慢性の腰痛

 

《上髎》 じょうりょう

[部位] 仙骨部第一後仙骨孔

[字義] 髎は骨孔の深い部分の穴→後仙骨孔の一番上

[適応症]  腰痛、泌尿器疾患

: 座骨神経痛、腰背部の疲れ、冷え症、慢性の腰痛、お腹のガスたまり

 

《次髎》 じりょう

[部位] 仙骨部第二後仙骨孔

[字義] 髎は骨孔の深い部分の穴→後仙骨孔の上から二番目

[適応症] 腰痛、泌尿器疾患

: 座骨神経痛、腰背部の疲れ、冷え症、慢性の腰痛、お腹のガスたまり

 

《承扶》 しょうふ

[部位] 臀部、臀溝の中点

[字義] 承はうける、扶は支える→体部を受けて支えるところ

[適応症]  座骨神経痛

: 座骨神経痛、腰背部の疲れ、慢性の腰痛

 

《委陽》 いよう

[部位] 膝後外端、大腿二頭筋腱の内側、膝下横紋上→「委中」の外側

[字義] 委は曲げる、陽は外側→膝関節の外側、委中の外側

[適応症]  座骨神経痛

: 下肢静脈瘤、座骨神経痛、腰背部の疲れ、膝痛

 

《委中》 いちゅう

[部位] 膝窩横紋の正中

[字義] 曲がるところ(膝関節)の中央

[適応症]  「腰背は委中に求む」と言われる座骨神経痛、膝痛の名穴(四総穴の1つ)」

: 下肢静脈瘤、膝痛、リンパを流す、座骨神経痛、腰背部の疲れ、こむら返り、足の疲れ、慢性の腰痛

 

《附分》 ふぶん

[部位] 第二、第三胸椎棘突起間脊柱の傍、指4本

[字義] 附は付く、分は分かれる→ここから膀胱経2側線と3側線が分かれる

[適応症]  肩背部のこり、後頭部痛

: 首~背中の痛み

 

《魄戸》 はくこ

[部位] 第三、第四胸椎棘突起間脊柱の傍、指4本

[字義] 魄は肺の精神作用、戸は出入り口

[適応症] 慢性の呼吸器疾患

: 首~背中の痛み、疲労感、肩こり、咳喘息、心の疲れ

 

《膏肓》 こうこう

[部位] 第四、第五胸椎棘突起間脊柱の傍、指4本、肩甲骨内縁、最も強い響きのあるところ

[字義] 膏は心の下、肓は薬力の及ばないところ→心と膈の間で薬力の及ばない深いところ

[適応症] 病膏肓に入る→薬力が及ばない病気

: 心の疲れ、頭痛、高血圧、風邪、首~背中の痛み、肩こり、疲労感、乳腺炎

 

《神堂》 しんどう

[部位] 第五、第六胸椎棘突起間脊柱の傍、指4本

[字義] 神は心の精神作用、堂は神の宿るところ

[適応症]  狭心症、心筋梗塞による頑固なこり

: 疲労感、首~背中の痛み、心の疲れ、咳喘息、肩こり

 

《譩譆》 いき

[部位] 第六、第七胸椎棘突起間脊柱の傍、指4本

[字義] 押されると「ああ」という言葉を発するところ

[適応症] 咳嗽、肩背痛

: 疲労感、肩こり、咳喘息、首~背中の痛み、心の疲れ

 

 

《膈関》 かくかん

[部位] 第七、第八胸椎棘突起間脊柱の傍、指4本

[字義] 膈は横隔膜、関は関所→横隔膜の働きを良くする

[適応症] 背部痛

: 首~背中の痛み

 

《志室》 ししつ

[部位] 腎兪の傍、指2本

[字義] 志は腎の精神作用、室は住居→腎の志を舎(やど)す 

[適応症]  腎兪に準じる

: 尿路結石、首~背中の痛み、座骨神経痛、疲労感、養生、甲状腺異常、腰背部の疲れ、腎機能向上、冷え症、慢性の腰痛

 

《承筋》 しょうきん

[部位] 「委中」(膝窩横紋の正中)より指4+3本下). 腓腹筋の最も盛り上がったところ

[字義] 承は受ける→筋の病を治す

[適応症] 下腿痛

: 座骨神経痛、こむら返り、足の疲れ、腰背部の疲れ

 

《承山》 しょうざん

[部位] 膝裏の横筋(横紋)と外くるぶしの先端と同じ高さのアキレス腱を結んだ中間→

外くるぶしの先端に手の中指を当て、手を広げ親指が当たったところで中間の見当をつける→

腓腹筋の両頭間でアキレス腱を圧上して指の止まるところ

[字義] 腓腹筋下部で山のようにふくらんでいるところ

[適応症] 下腿痛

: こむら返り、座骨神経痛、足の疲れ、腰背部の疲れ、風邪

 

《飛揚》 ひよう

[部位] 下腿後外側、腓腹筋外側頭下縁とアキレス腱との間。崑崙の上方、承山の外下方指一本強→上記「承山」の外下方指一本強

[字義] 経脈の走行がこの部で脚の外側(陽)に飛ぶ

[適応症]  水溶性の鼻汁

: 水溶性の鼻汁

 

《崑崙》 こんろん

[部位] 足の外踝の後方踵骨上の陥中

[字義] 外踝を崑崙山に見立てている

[適応症] 大腸経の熱(痛み、炎症、こり)を取る

: [適応症] 肩の痛み、五十肩の代表穴

: 足底痛、座骨神経痛、頭痛、急性の腰痛、慢性の腰痛、股関節痛

 

《申脈》 しんみゃく

[部位] 外踝尖の直下、外踝下縁と踵骨の間の陥凹部

[字義] 申は伸びる、脈は血脈→屈伸不能、筋痙攣に効果あり

[適応症] 腰痛、頭痛、めまい

: 座骨神経痛、慢性の腰痛

 

《京骨》 けいこつ

[部位] 足外側、第五中足骨粗面の遠位、赤白肉際→第五中足骨の踵よりの骨端(高く隆起した部分)の遠位側にあるくぼみ

[字義] 京は大きい、骨はここでは第五中足骨→第五中足骨後端の大きな骨のところ

[適応症]  膀胱経の原穴(注参照)、頭痛、後頭部痛、めまい

(注)原穴:六臓六腑に1つずつ、臓腑の気がもっとも現われる、臓腑の気を補う最も重要な経穴

: リンパを流す

 

《束骨》 そっこつ

[部位] 足外側、第五中足指節関節の近位、赤白肉際

[字義] 束は束ねる→足背部を束ねるときに当たるところ

[適応症]  頭痛、後頭部痛、めまい

: 慢性の腰痛

 

《通谷》 つうこく

[部位] 足外側、第五中足指節関節の遠位、赤白肉際

[字義] 膀胱経の気が通るところ

[適応症] 頭痛、後頭部痛、めまい

: 慢性の腰痛、自律神経を整える、花粉症

 

《他の経絡上の膀胱に関連する重要な経穴

  • 「中極」 (下腹部、前正中線上、恥骨結合上縁より親指幅1本) : 任脈にあるが、足太陽膀胱経の募穴

(注) 募穴:六臓六腑に1つずつ、臓腑の異常を見る、臓腑の治療点、臓腑との結びつきが強い